顎関節症とはどんな病気?原因や治療法を詳しく解説
こんにちは。尼崎市長洲西通、JR「尼崎駅」南口より徒歩1分にある歯医者「すずき歯科クリニック」です。

顎を動かしたときにカクカクと音がしたり、顎に痛みを感じたりすることはありませんか。そうした症状がある場合、顎関節症の可能性があります。
顎関節症とは、顎の関節やその周囲の筋肉に不調が生じることで、さまざまな症状が現れる病気です。軽いケースでは自然に良くなることもありますが、痛みが慢性化したり、口の開け閉めが難しくなったりすると、日常生活に大きな影響を与えることもあります。
今回は、顎関節症の基礎知識から原因、診断、治療法、予防法までをわかりやすく解説します。顎に違和感がある方は、ぜひ参考にしてください。
顎関節症とは

顎関節症(がくかんせつしょう)とは、顎の関節(顎関節)やその周囲の筋肉、靭帯などに異常が生じ、口の開閉や食事、会話などの日常的な動作に影響を及ぼす疾患です。
典型的な症状としては、顎の痛み、口の開けにくさ、開閉時の関節音(カクカク、ジャリジャリ音)などが挙げられます。そのほかにも、肩こりや頭痛、耳鳴り、めまいなどの全身的な症状が現れることもあります。
これらの症状は一過性の場合もありますが、悪化すると慢性化し、治療が長期にわたることも少なくありません。顎関節症は女性に多く、特に20代から40代の働き盛りの世代に多く見られる傾向があります。
顎関節症の原因

顎関節症は、単一の原因ではなく複数の要因が複雑に絡み合って発症します。以下では主な原因について詳しく解説します。
噛み合わせの問題
噛み合わせが悪いと、食事や会話のたびに顎に不自然な負担がかかるため、関節や筋肉に慢性的なストレスが蓄積されます。
特に上下の歯の接触が不均衡であったり、歯が欠損している状態を放置していたりすると、噛むたびに顎の左右の筋肉にズレが生じ、顎関節に偏った負荷がかかります。これが長期的に続くことで、顎関節の炎症や変形へとつながる可能性があります。
噛み合わせのずれは見た目にはわかりにくいことも多いため、歯科医院で定期的にチェックを受けることが重要です。
歯ぎしり・食いしばり
就寝中や無意識のうちに行われる歯ぎしりや食いしばりは、顎関節や咀嚼筋に非常に強い負担をかけます。
特に睡眠中の歯ぎしりは、自分では気づきにくいため、症状が進行してから異常に気づくことが多くあります。長時間にわたる過度な力の集中により、関節円板のズレや顎関節の摩耗が進み、痛みや雑音といった症状が出やすくなります。
ストレスとの関連も強く、現代社会において増加傾向にある原因の一つです。
精神的ストレス
精神的なストレスは、顎関節症の発症に大きく関わっているとされています。強いストレスがかかると、無意識のうちに歯を食いしばる癖がついたり、筋肉が緊張した状態が続いたりすることで、顎関節に過剰な負荷がかかるのです。
また、ストレスによる自律神経の乱れが筋肉の緊張や血流の悪化を招き、痛みの悪化につながるケースもあります。ストレスの感じ方には個人差があるため、症状の出方も人によって異なります。
外傷
顎に直接的な衝撃を受けたことがきっかけで、顎関節症を発症するケースもあります。例えば、転倒や交通事故、スポーツなどによる外傷により、関節円板がずれたり、関節の構造自体に損傷が起こったりすることがあります。
初期には大きな症状が出なくても、時間が経過するなかで痛みや違和感が徐々に現れてくることもあるため、外傷後の経過観察は重要です。
姿勢の悪さ
姿勢の悪さも顎関節症の一因とされています。猫背や前かがみの姿勢が続くと、頭の位置が前方にずれ、それに伴い顎の位置にも無理な負荷がかかります。これにより、咀嚼筋や顎関節周囲の筋肉が常に緊張した状態となり、慢性的なストレスが蓄積されてしまいます。
デスクワークやスマートフォンの長時間使用が日常化している現代では、姿勢の悪さによる顎関節症のリスクが高まっていると言えるでしょう。
顎関節症の診断方法

顎関節症が疑われる場合、歯科や口腔外科での適切な診断が必要です。
診断の第一歩は問診と視診です。患者さんの症状や生活習慣について詳しく聞き取り、顎の開閉運動や関節音の有無、筋肉の圧痛などを確認します。
その後、必要に応じてレントゲン撮影、MRI、CTスキャンなどの画像検査が行われ、関節内部の状態や関節円板の位置を詳しく調べます。また、咬合検査や顎運動の測定を通じて、噛み合わせの状態や筋肉の動きに異常がないかをチェックします。
こうした総合的な情報に基づき、顎関節症のタイプや重症度が診断されます。
顎関節症の治療法

顎関節症の治療は、症状の原因や重症度に応じて選択されます。以下に代表的な治療法をご紹介します。
スプリント療法
スプリント療法は、マウスピースのような装置(スプリント)を装着することで、顎関節や筋肉の負担を軽減する治療法です。特に夜間の歯ぎしりや食いしばりによるストレスを緩和する効果が期待されます。
スプリントは患者さんごとにカスタムメイドされます。使用することで顎の位置を安定させ、筋肉の緊張を和らげることが可能になります。
理学療法
理学療法は、筋肉の緊張を緩め、顎関節の可動域を広げるための治療法です。具体的には、温熱療法、マッサージ、超音波療法、ストレッチなどが含まれます。また、口の開け方や顎の動かし方をトレーニングする運動療法も重要です。
専門の理学療法士や歯科医師の指導のもと、継続的に行うことで症状の改善が期待できます。
薬物療法
痛みや炎症が強い場合には、薬物療法が用いられます。主に使用されるのは、非ステロイド性抗炎症薬や筋弛緩薬、場合によっては抗うつ薬が処方されることがあります。薬物療法はあくまでも一時的な対症療法であるため、ほかの治療と併用することが推奨されます。
噛み合わせの調整
噛み合わせに異常がある場合は、その調整が治療の鍵となります。高すぎる被せ物の調整や、歯列矯正によって噛み合わせのバランスを整えることで、顎関節への負担を軽減します。また、入れ歯が合っていない場合にも調整が必要となります。
外科的治療
保存的治療で効果が見られない重度の顎関節症に対しては、外科的治療が検討されることがあります。関節腔洗浄や関節鏡視下手術などが行われます。手術には一定のリスクを伴うため、歯科医師と十分な相談が必要です。
顎関節症を予防するためには

顎関節症は日々の生活習慣を見直すことで予防が可能です。以下では、予防のために意識すべきポイントを具体的に解説します。
ストレスを管理する
ストレスは顎関節症の大きな原因の一つです。そのため、ストレスを上手にコントロールすることは、症状の予防や悪化の防止にとても重要です。
自分に合ったリラックス方法を見つけることがポイントで、例えば、ウォーキングや深呼吸、趣味の時間を持つことなどが効果的です。また、十分な睡眠を取ることや、ストレスに対する考え方を変えるマインドフルネスのような方法も注目されています。
ストレス管理は顎だけでなく、全身の健康にも良い影響を与えるため、日常的に意識したい習慣です。
正しい姿勢を意識する
日常生活のなかで正しい姿勢を意識することも、顎関節症の予防につながります。
デスクワークやスマートフォンの使用中に前かがみの姿勢を長時間続けると、顎に不自然な力が加わり、筋肉や関節に負担がかかります。座る際は背筋を伸ばし、頭が体の中心にくるように意識しましょう。
特に、パソコンのモニターの位置が低すぎたり椅子が合っていなかったりすると、自然と姿勢が悪くなるため、作業環境の見直しも重要です。
食生活を改善する
毎日の食生活を見直すことも、顎関節症の予防に役立ちます。
硬い食べ物を頻繁に食べていたり、片方の歯だけで噛む癖があったりすると、顎に偏った負担がかかりやすくなります。食事の際は、左右均等に噛むことを意識し、負担の少ない柔らかめの食材を適度に取り入れるとよいでしょう。
また、顎や筋肉の健康を保つためには、栄養バランスの取れた食事も欠かせません。特に、筋肉を作るたんぱく質や、炎症を抑える働きのあるビタミン類、ミネラルなどを意識して摂るようにしましょう。
普段の食事内容を少し工夫するだけでも、顎への負担を軽減し、症状の予防につながります。
歯ぎしり・食いしばりを改善する
歯ぎしりや食いしばりは、無意識のうちに行われることが多いため、まずは日常生活のなかで気づくことが改善への第一歩です。日中に奥歯を噛みしめていないか意識し、リラックスした状態を心がけるようにしましょう。
特に集中しているときやストレスを感じているときに、無意識に食いしばっているケースが多いです。こまめに深呼吸をする、肩や顎をほぐすストレッチを取り入れるなど、筋肉の緊張を解く習慣を持つことが有効です。
また、就寝前にリラックスできる環境を整えることも、歯ぎしりの軽減につながります。生活習慣を見直すことで、症状の悪化を防ぐことが可能です。
定期的に歯科検診を受ける
顎関節症を予防するためには、定期的に歯科検診を受けることも非常に重要です。
噛み合わせや歯並びの異常、詰め物や被せ物の不具合などを早期に発見できれば未然に症状を防ぐことができます。また、歯ぎしりや食いしばりといった癖も、歯科医師のアドバイスによって改善が期待できます。
症状がなくても年に1〜2回は歯科医院を受診することで、口腔全体の健康を維持し、顎関節への負担を最小限に抑えることができます。
まとめ

顎関節症は、誰にでも起こり得る身近な疾患でありながら、その症状や原因は多岐にわたります。軽い症状であっても放置することで悪化する可能性があるため、早期の対応が重要です。
日常生活のなかで顎に違和感を覚えたときは、自己判断せず歯科医師に相談しましょう。日々のちょっとした意識が、顎関節症の予防につながります。
顎関節症の症状にお悩みの方は、尼崎市長洲西通、JR「尼崎駅」南口より徒歩1分にある歯医者「すずき歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
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